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神通川ダム

(じんづうがわ)

三つのダムが織りなす絶景

富山県富山市の南部、飛騨山脈を源とする神通川の中流域に広がる神通峡は、県内有数の景勝地として知られています。約20kmにわたって続く峡谷は、急流が長い年月をかけて削り上げた断崖と、エメラルドグリーンに輝く川面が織りなす壮大な自然美が魅力です。

この峡谷には、戦後の復興と高度経済成長を支えた三つのダム――神一ダム(神通川第一ダム)、神二ダム(神通川第二ダム)、神三ダム(神通川第三ダム)が建設され、自然と巨大構造物が見事に調和した独特の風景を生み出しています。

神一ダム(神通川第一ダム)と片路峡の絶景

神一ダムは、神通峡の中でも特に景観が美しいとされる「片路峡(かたじきょう)」に位置する高さ45メートルの重力式コンクリートダムです。北陸電力の発電用ダムとして建設され、神通川第一発電所および庵谷発電所へ送水し、合計最大13万2,000キロワットの電力を生み出しています。

戦後復興を支えた大規模開発

1951年、日本発送電の分割民営化により北陸電力が誕生しました。当時は朝鮮戦争特需による景気回復で電力需要が急増しており、北陸地方は深刻な電力不足に直面していました。こうした背景のもと、豊富な水量を誇る神通川に大規模水力発電開発が計画され、神一ダムと神通川第一発電所の建設が進められました。

1952年に着工、わずか22か月という短期間で1954年に運転開始。当時、戦後完成した発電所としては全国最大級の規模を誇り、地域経済発展の原動力となりました。

吉野橋から望む壮大な景観

神一ダムの下流に架かる吉野橋からは、ダム堰堤の全景を一望できます。峡谷がぐっと狭まり、川が大きく湾曲するこの区間こそが片路峡。鋭く切れ込むV字谷と巨大なダムが織りなす光景は圧巻です。特に秋の紅葉シーズンには、赤や黄色に染まった山肌とダム湖の深い緑が対比し、写真愛好家にも人気の撮影スポットとなっています。

庵谷発電所の再開発

1970年代のオイルショックを契機に、水力発電の重要性が再認識されました。その一環として神一ダムの再開発が行われ、1976年に庵谷発電所が完成。既存施設を有効活用した効率的な増設計画は、国の緊急水力開発地点にも指定されました。

神二ダムとボート競技の舞台

神二ダムは高さ40メートルの重力式コンクリートダムで、最大4万キロワットを発電します。当初は神通川第一発電所の「逆調整池」として建設されました。ピーク運転による河川水位の急変を緩和し、下流域の利水やレジャーへの影響を抑える重要な役割を担っています。

富山県漕艇場としての活用

神二ダム湖は「富山県漕艇場」として整備され、日本ローイング協会公認コースにもなっています。静かな湖面ではボート競技の練習が行われ、多くの選手がここで腕を磨いてきました。放水時の迫力ある水煙と、穏やかな湖面の対比も見どころの一つです。

神通峡岩稲温泉 楽今日館

ダム湖畔には「神通峡岩稲温泉 楽今日館」があります。地下700メートルから湧き出すアルカリ性単純温泉は“美人の湯”として知られ、肌がつるつるになると評判です。四季折々に表情を変える峡谷を眺めながら入浴できる露天風呂は、旅の疲れを優しく癒してくれます。

神三ダムと春日温泉郷

神三ダムは高さ15.5メートルと比較的小規模ですが、神通川第三発電所と第三左岸発電所へ送水し、合計最大1万6,500キロワットを発電します。神二ダムに代わり逆調整の役割を担うために建設されました。

両岸に広がる発電所

右岸発電所はダム直下に位置し、左岸発電所は約1.8km下流に設けられています。左岸側は距離を取ることで落差を確保し、発電効率を高める工夫が施されています。

神通峡春日温泉

ダム近くには春日温泉郷が広がります。大正時代に開湯し、菩薩のお告げによって発見されたという伝説が残る名湯です。春には桜、秋には紅葉が楽しめ、温泉と自然美を同時に満喫できます。

神通峡の四季と名所めぐり

神通峡は1976年に県定公園に指定され、自然環境保全地域としても保護されています。国道41号線とJR高山本線が川沿いを走り、ドライブや鉄道旅でも絶景を楽しめます。

庵谷峠展望台

峡谷随一のビュースポット。片路峡を含む神通峡全体を見渡せます。新緑や紅葉の季節は特に美しく、地方紙を飾る写真の多くがここから撮影されています。

笹津橋

1941年完成のアーチ橋で、国登録有形文化財に指定されています。峡谷美と調和する優美な姿は、近代土木遺産として高く評価されています。

常虹の滝と棚田風景

午前中に虹がかかることで知られる常虹の滝や、山里に広がる庵谷の棚田など、素朴で美しい景色も魅力です。自然散策の際は、熊対策や足元への注意を忘れずにお楽しみください。

自然と技術が共存する神通峡の魅力

神通峡は、飛騨の雪解け水が刻んだ雄大な地形と、戦後日本を支えた水力発電施設が共存する希少な観光地です。巨大ダムの迫力、穏やかなダム湖、赤い橋のアクセント、そして四季折々の彩り。訪れるたびに異なる表情を見せてくれます。

富山インターチェンジから車でアクセスしやすく、温泉やキャンプ場、道の駅も充実しています。自然美と近代土木遺産を同時に体感できる神通峡へ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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名称
神通川ダム
(じんづうがわ)

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