円形の器に笹を敷き詰め、その上に塩漬け後に味付けしたマスの切り身と酢飯を詰め、笹で包みこみ重しをして作られる押し寿司。享保二年(1717年)、良質の越中米と神通川のアユで作ったのがはじまりとされ、時の加賀藩主が八代将軍吉宗に献上した折、そのおいしさが食通であった吉宗を唸らせたといわれている。その後マスを使って作られるようになり、越中名物として広まった。現在でも富山市の松川沿いでたくさんの専門店が並んでおり、全国的に駅弁やお土産としても重宝されている。
薄紅色のマスが酢飯に乗った「ます寿司」は、富山で非常に有名な伝統料理です。その歴史は江戸時代の享保年間までさかのぼります。当時、料理の名手であった富山藩の吉村新八が、藩主である前田利興のために鮎の鮓を作り、前田利興がこれに感銘を受けて将軍吉宗に献上しました。将軍吉宗もその美味しさに感嘆し、それ以降、富山の名物として広く知られるようになりました。
後に、アユの代わりに春に神通川にやってくるサクラマスが使用され、これが現代の「ます寿司」の原型となりました。全国的に有名になったきっかけは大正時代で、駅弁として販売されたことから、鉄道網の普及とともに美味しさが全国に広まりました。
「ます寿司」は、木製の丸いわっぱに笹を敷き、塩漬けしたマスと酢飯を交互に重ねて詰め込んだもので、通常は二段になっています。マスの厚さ、酢の味付け、酢飯の押し加減など、味やスタイルは各店舗ごとに異なり、多くの地元の人々にとって、お気に入りの店があります。
「ます寿司」は通年で食べられますが、多くの人々は自宅で作るのではなく、専門店で購入して楽しんでいます。富山市内だけでも20軒以上の専門店があり、特別な機会や季節ごとに食べることが一般的です。また、お土産や贈り物としても人気があります。
この料理を楽しむ方法は、曲げわっぱに笹を敷き、その上に寿司飯を均等に広げて詰め込むことです。酢漬けにしたマスを曲げわっぱの型に合わせて切り、寿司飯の上にのせ、笹を順番に折りたたみ、蓋で閉じて重しを乗せます。笹で包むことで、美味しさが熟成されるのです。