ホタルイカは、春の富山を代表する味覚であり、「富山湾の神秘」とも称される存在です。毎年3月から6月にかけて、産卵のために富山湾沿岸へと大群で押し寄せ、その幻想的な青白い発光は「海の銀河」にも例えられます。とりわけ富山湾の滑川周辺海域は「ホタルイカ群遊海面」として国の特別天然記念物に指定されており、世界的にも珍しい自然現象として広く知られています。
「ホタルイカのまち」として知られる滑川市では、港近くの漁場で水揚げされるため、鮮度の高い大ぶりのホタルイカが流通します。かつては肥料として扱われていた時代もありましたが、明治期以降に食材としての価値が見直され、戦後には富山湾を代表する味覚としての地位を確立しました。現在では酢味噌和えや刺身、天ぷら、唐揚げ、しゃぶしゃぶなど多彩な料理で楽しまれています。
ホタルイカは傷みやすい食材のため、生食には適切な冷凍処理や加熱処理が必要とされています。地元では古くから調理法が工夫され、安全に美味しく味わわれてきました。旬の時期に訪れ、富山湾の自然と伝統の味をぜひご堪能ください。
富山名産のほたるいか沖漬は、鮮度の良いホタルイカを丸ごと醤油とみりんの割下に漬け込んだ逸品です。沖にいる姿のまま旨味を閉じ込めたその味わいは濃厚でありながら上品で、ご飯のお供にもお酒の肴にも最適です。大根おろしや生姜を添えると、よりさっぱりとした風味が楽しめます。
ホタルイカは深海性の小型のイカで、腕の先や腹部、全身にある発光器から青や緑の光を放ちます。この発光は外敵から身を守るためや仲間との合図などに用いられると考えられています。春の夜、条件が整うと波打ち際に大量に打ち上げられる「ホタルイカの身投げ」と呼ばれる現象が見られることもあり、幻想的な光景は多くの観光客を魅了します。
富山湾で定置網漁の様子を観光船から見学できる体験は人気です。滑川市のほたるいかミュージアムでは発光するホタルイカの展示や生態解説を通じて、その神秘を間近に学ぶことができます。自然と食文化の両面からホタルイカを体験できるのは、富山ならではの魅力です。