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佛石寺・仏舎利塔

(ぶっせきじ)

二上山に抱かれた祈りの寺

富山県高岡市の西側にそびえる二上山。そのなだらかな山並みの一角、鉢伏山に静かに佇むのが佛石寺です。標高およそ200メートルの高台に位置するこの寺院は、曹洞宗に属し、山号を「仏舎利山」と称します。豊かな自然に囲まれ、眼下には高岡の町並みと富山湾を望むことができるこの場所は、祈りと絶景が調和する特別な空間として、多くの人々に親しまれています。

佛石寺の歴史と開創の由来

佛石寺は、二上山の山麓にある正法寺(高岡市)の道前泰貫師によって開かれました。戦後の混乱期を経て、平和への願いが強まる中で建立された寺院であり、山上にそびえる仏舎利塔はその象徴的存在です。静寂に包まれた境内には、訪れる人々の心を穏やかに整える空気が流れています。

高さ20メートルの祈り ― 仏舎利塔

佛石寺を語るうえで欠かせないのが、花こう岩で造られた壮麗な仏舎利塔です。1964年、戦後の恒久平和を願って建立されたこの塔は、高さ約20メートルを誇り、二上山万葉ラインのランドマークとして広く知られています。

2024年の能登半島地震の際には、塔の最上部に据えられていた宝珠(直径50~60センチ、重さ約400キロ)が落下するという出来事がありました。幸い宝珠そのものは割れずに済みましたが、接触した土台部分の一部が欠ける被害が生じました。その後、2025年5月には修復工事が行われ、クレーンで宝珠を元の位置に戻す作業が無事完了しました。再び山上に輝く宝珠は、復興と再生の象徴として、訪れる人々に静かな感動を与えています。

千体地蔵と静寂の境内

境内には「千体地蔵」と呼ばれる多くの地蔵尊が並び、訪れる人々を温かく見守っています。一体一体に込められた祈りは、家族の健康や子どもの成長、平穏な日常への願いなどさまざまです。山の風に吹かれながら地蔵尊の前に立つと、自然と心が穏やかになっていくのを感じることでしょう。

絶景を巡る道 ― 二上山万葉ライン

佛石寺へ向かう道中、ぜひ楽しみたいのが二上山万葉ラインです。全長約8.4キロメートルのドライブコースは、1966年4月22日に開通しました。その名称は公募により決定されたもので、万葉歌人・大伴家持に由来しています。

山と海を望む大パノラマ

標高約274メートルの二上山の山並みを縫うように走るこのスカイラインは、晴天時には立山連峰から能登半島までを見渡すことができる絶景スポットです。山頂付近の展望台からは、高岡市街地、富山湾、蛇行する小矢部川など、多彩な風景が一望できます。

昼間は雄大な自然美を、そして夜にはきらめく市街地の灯りを楽しむことができ、日本夜景遺産にも登録されています。特に城山園地(守山城跡)から望む夜景は、海・川・街並みが織りなす奥行きある景観が魅力で、多くの人々を惹きつけています。

万葉歌人・大伴家持と二上山

奈良時代の歌人大伴家持は、越中国司としてこの地に赴任し、二上山をこよなく愛しました。

「玉くしげ 二上山に鳴く鳥の 声の恋しき 時は来にけり」

この歌には、二上山に鳴くホトトギスへの深い思いが込められています。万葉ラインの名は、この家持の歌にちなんで名付けられました。御前下駐車場には家持の銅像も立ち、古代と現代を結ぶ象徴となっています。

沿線に広がる見どころ

二上山万葉ライン沿いには、佛石寺のほかにも守山城跡、平和観音像、平和の鐘、万葉植物園、キャンプ場など多彩な観光スポットが点在しています。中でも「平和の鐘」は重さ11トンを誇る大梵鐘で、誰でも自由に撞くことができます。その響きは山々にこだまし、訪れた人の胸に深く残ります。

春にはソメイヨシノが咲き誇り、秋には紅葉が山全体を赤や黄色に染め上げます。四季折々に表情を変える景色の中を走るドライブは格別で、古代から愛されてきた自然の魅力を実感できます。

山麓の名刹 ― 正法寺と万葉植物園

佛石寺を開いた道前泰貫師ゆかりの寺院が、山麓に位置する正法寺(高岡市)です。曹洞宗の寺院で、山号を護国山と称します。1932年に堂宇が造営され、1938年には永平寺第68世・黙道慧昭禅師により開山されました。

四国八十八箇所を模した石仏群

境内には四国八十八箇所霊場を模した88体の石仏が安置され、巡拝することで心の安らぎを得ることができます。山の静けさの中で一体一体に手を合わせる時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれます。

越中万葉植物園と歌碑

1980年には境内に「越中万葉植物園」が開園されました。万葉集に詠まれた植物が植栽され、季節ごとに異なる彩りを楽しむことができます。園内には大伴家持の歌碑も建立され、先の「玉くしげ…」の歌が刻まれています。

万葉の時代に思いをはせながら花や木々を眺めるひとときは、文学と自然が融合する贅沢な時間です。

祈りと絶景が織りなす二上山の魅力

佛石寺の仏舎利塔、二上山万葉ラインの大パノラマ、正法寺の万葉植物園――これらは単なる観光地ではなく、歴史・文学・信仰・自然が一体となった文化景観です。古代より神の山として崇められてきた二上山は、万葉歌人にも愛され、現代に生きる私たちにも変わらぬ感動を与え続けています。

山と海を望む雄大な景色の中で、平和への祈りとともに静かな時間を過ごす。そんな心豊かな旅を、ぜひ二上山で体験してみてはいかがでしょうか。

Information

名称
佛石寺・仏舎利塔
(ぶっせきじ)

高岡・氷見

富山県