ひみラボ水族館は、富山県氷見市にある淡水魚専門のユニークな水族館です。廃校となった氷見市立仏生寺小学校の校舎を活用し、富山大学理学部と氷見市が連携して設立した研究拠点「ひみラボ」内に、2012年10月13日にオープンしました。
一般的な大規模水族館とは異なり、氷見の川に生息する身近な淡水魚を中心に展示しているのが大きな特徴です。自然の大切さを理解する第一歩として、「まずは足元の川を知ること」をテーマに、地域に根ざした展示と体験活動を行っています。
水族館の建物は、2011年3月に閉校した氷見市立仏生寺小学校の校舎です。同校は1875年創立という長い歴史を持ち、地域に親しまれてきました。1994年には富山県建築賞、1995年には文教施設協会会長賞を受賞するなど、特色ある校舎としても知られていました。
閉校後の跡地利用を検討する中で、2011年3月30日に富山大学理学部と氷見市との間で連携協定が締結され、同年4月より「富山大学理学部・氷見市連携研究室(ひみラボ)」として新たな歩みを開始しました。そして翌2012年、研究活動の成果や地域の生き物を広く紹介する場として、ひみラボ水族館が誕生しました。
ひみラボでは、「地域の豊かな自然を守り、その豊かさを活用・発信すること」を目的に活動しています。富山大学理学部の研究室が中心となり、希少生物の保全研究や環境調査を実施するとともに、地域住民への普及啓発や学校教育との連携も行っています。
このように、研究・教育・観光が一体となった施設である点が、ひみラボ水族館の大きな魅力です。
日本全国には約320種類の淡水魚が確認されており、富山県内では約100種類、そのうち氷見市内では約60種類が見られるといわれています。ひみラボ水族館では、その中から常時約30種類を展示し、氷見の川の生態系を紹介しています。
個別展示ゾーンでは、1種類の魚を1つの水槽で展示し、それぞれの特徴を丁寧に解説しています。分類、分布(日本・富山県・氷見市)、形態、生態、希少性や保護状況まで詳しく紹介するパネルが設置されており、学びながら観察できる構成です。
展示の中心的存在は、国指定天然記念物であり絶滅危惧種でもあるイタセンパラです。二枚貝に産卵するという独特の生態を持つこの魚は、氷見の自然の象徴ともいえる存在です。水槽では、砂から顔を出す貝の様子や、警戒しながら泳ぐ姿を間近に観察できます。
また、ミナミアカヒレタビラ、ヤリタナゴ、タイリクバラタナゴなど、似た種類の魚を近くに配置しているため、違いを見比べながら理解を深めることができます。
さらに、ヨシノボリ類やウキゴリ類、シンジコハゼ、ヌマチチブなど、多様なハゼの仲間も展示されています。小さな体の中に秘められた進化の違いを、じっくり観察してみてください。
入口付近には大型水槽が設置され、「中・上流域の魚たち」「田園の魚たち」「下流域の魚たち」「海の近くの魚たち」というテーマごとに複数種が混泳しています。
例えば「田園の魚たち」の水槽では、イタセンパラやヤリタナゴ、モツゴなどが泳ぎます。臆病なイタセンパラの行動を観察することで、自然界での生存戦略に思いを巡らせることができます。
「下流域の魚たち」では、大型のコイやナマズ、カムルチーなどが迫力ある姿を見せてくれます。魚同士の距離感や泳ぎ方から、生き物同士の関係性を学ぶことができます。
無料で楽しめるザリガニ釣り体験は、子どもたちに大人気のコーナーです。実際に釣り上げる体験を通して、水辺の生き物への親しみが自然と育まれます。
館外にはシバヤギやミニブタがおり、来館者を出迎えます。水辺だけでなく、身近な動物とのふれあいも楽しめるのが特徴です。
館内には図書スペースが設けられ、魚や自然に関する書籍を自由に閲覧できます。閲覧用パソコンでは、ひみラボの紹介映像や氷見の生き物に関する情報を見ることができ、学びをさらに深められます。
学校のクラス単位で訪れ、魚のスケッチや観察学習を行うことも可能です。円形水槽やタッチプールを活用しながら、実体験を通して理解を深められます。
エサやりや水槽清掃など、水族館運営に関わる体験もできます。見るだけでなく、関わることで命の大切さを実感できます。
講演会や展示解説会も開催され、地域住民や研究者が交流する場としても活用されています。
2025年3月8日、第29回「とやま環境賞」において優秀活動賞を受賞しました。地域に根ざした環境教育活動が高く評価されています。
無料
月曜日および冬季(年末~3月中旬)
E41能越自動車道氷見南ICから約1.5km。市街地からもアクセスしやすい立地です。
ひみラボ水族館は、氷見の自然と真摯に向き合う小さな学びの拠点です。豪華さや派手さはありませんが、その分、魚一匹一匹の命と真剣に向き合うことができます。観光で訪れた際には、ぜひ立ち寄り、氷見の川の豊かさと、その未来を守る取り組みに触れてみてください。