富山県 > 高岡・氷見 > 福岡町つくりもんまつり
つくりもんまつりは、富山県高岡市福岡町の市街地一円において、毎年9月23日・24日に開催される秋の名物行事です。江戸時代中期より300年以上続く伝統を誇り、秋の収穫を祝い、五穀豊穣への感謝と祈りを捧げる奇祭として広く知られています。
野菜や果物、草花など自然の恵みを材料に、人形や風景、話題の人物などを表現した「つくりもん」と呼ばれる作品を町の各所に展示するのが大きな特徴です。素朴でありながらも趣向を凝らした作品は、見る人の心を和ませ、時に驚きを与える、まさに庶民による民衆芸術といえる存在です。
つくりもんまつりの起源は、地蔵尊に秋の収穫物を供えた地蔵祭りにあります。もともとは収穫した野菜や穀物をお供えする素朴な行事でしたが、やがて供物を工夫して形作る風習が生まれ、次第に見立て細工へと発展していきました。
その後、開催時期が9月に定着し、現在のように町を挙げて多彩な作品を展示する祭りへと発展しました。現在でも祭り期間中には地区内3ヵ所の地蔵尊で地蔵祭りが行われ、岸渡川での燈籠流し、雅楽や吹奏楽、民謡の演奏など、伝統行事と文化催事が融合したにぎやかな催しとなっています。
「つくりもん」とは、野菜を中心に果物や穀物、草木、花、さらには乾物なども用いて制作される見立て細工のことを指します。その年の話題となった人物や出来事、歴史上の人物、人気アニメキャラクター、名所や建造物などがテーマに選ばれ、独創的に表現されます。
作品は小さなものから高さ5~6メートルを超える大作までさまざまで、野菜の色や質感、形状を巧みに生かしながら立体的、あるいは絵画のように仕上げられます。制作期間はおよそ1週間から1か月ほど。完成度の高さと創意工夫に、訪れた人々は感嘆の声を上げます。
つくりもんの魅力の一つは、毎年テーマが変わることです。世相を風刺した作品や、その年に話題となった人物や出来事を題材にしたものなど、時代を反映した内容が多く、ユーモアと人情味あふれる表現が特徴です。
歴史は古いものの、決して伝統の型に縛られない自由な発想が受け継がれており、電飾や機械仕掛けを取り入れた作品など、新しい試みも見られます。まさに伝統と創造性が共存する祭典といえるでしょう。
つくりもんは、町内会や婦人会、地元企業、小学校・中学校・高校、さらには県内外の大学生など、30数団体が参加して制作します。出品数はおよそ40点前後にのぼり、町内各所に展示されます。
制作は地域団体単位で行われ、仕事や家事を終えた住民が夜に集まり、和気あいあいと作業を進めます。子どもたちも「豆貼り」などの作業を手伝い、世代を超えた交流の場となっています。「豆貼り3年」と言われるほど技術を要する工程もあり、熟練の技が光ります。
祭り直前の二日間は仕上げの最盛期となり、深夜まで作業が続くこともあります。ほぼ全戸から参加者が出るという地域の結束の強さが、この祭りを支えています。
昭和30年代からは「つくりもんコンクール」が開催され、優勝作品をはじめ各賞が選ばれています。これにより、従来の町内会だけでなくさまざまな団体が参加するようになり、毎年新しいアイデアや技術が取り入れられるようになりました。
つくりもんまつり実行委員会は、2006年にサントリー文化財団よりサントリー地域文化賞を受賞。そのほか北日本新聞文化功労賞、地域再生大賞優秀賞、ふるさとイベント大賞(内閣総理大臣賞)など、数多くの栄誉に輝いています。同年には富山県より「とやまの文化財百選(とやまの祭り百選部門)」にも選定されました。
2013年には、大阪府吹田市の国立民族学博物館において、雅楽の曲目「蘭陵王」を題材とした高さ2.5メートルのつくりもん人形が常設展示されました。展示用には紙粘土で野菜を模したレプリカが用いられています。
江戸時代から現代まで継承され、地域に根付いた祭り文化として高く評価され、日本を象徴する祭り文化の一例として紹介されています。
2020年および2021年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止となりましたが、2022年に3年ぶりの開催を果たしました。再開を待ち望んでいた多くの人々が訪れ、町には再び活気と笑顔が戻りました。
同日には、高岡市中田地区で「中田かかし祭」も開催され、両会場を結ぶシャトルバスが運行されます。あわせて巡ることで、秋の高岡をより一層満喫することができます。
・能越自動車道福岡ICから車で約5分
・あいの風とやま鉄道福岡駅からすぐ
・開催期間中はお祭りシャトルバス運行(詳細は公式HPをご確認ください)
つくりもんまつりは、単なる観光イベントではなく、地域住民が力を合わせて作り上げる心温まる祭りです。作って楽しい、見て楽しい、他の作品を見てまた楽しい――三度楽しめる祭りとして、多くの人に愛されています。
野菜や草花が生み出すユーモラスで創造力あふれる作品群と、昔ながらの夜店のにぎわい。秋の高岡市福岡町で、300年の歴史を体感してみてはいかがでしょうか。