海王丸パーク

商船学校の練習船として誕生した帆船 海王丸を中心とした海の公園で、さまざまな施設があります。「みなとオアシス海王丸パーク」として、みなとオアシスに登録されています

帆船 海王丸の美しい姿は、“海の貴婦人”と呼ばれるほど魅力的であり、進水してから59年以上の間に、約106万海里（地球約50周分）を航海し、11,190人の海の若者を育てました。

海王丸パークでは、この帆船海王丸をそのまま公開しており、当時の姿を見ることができます。さらに、年に10回総帆展帆も行われています。29枚の帆を広げる総帆展帆は見応えがあります。

その海にそびえる海王丸の迫力と美しさは、まさに貴婦人のようです。また、帆船自体が見どころの一つであり、歴史的な海洋博物館としても楽しめます。

パーク内には大型の遊具、イベント広場、飲食店、日本海交流センター、野鳥園、みなと交流館などの施設があり、爽やかな海風を感じながら海のロマンを存分に楽しむことができます。

おしゃれなベイエリアスポットであり、「恋人の聖地」として選定され、夜にはライトアップされた海王丸が幻想的な光景を見せてくれます。

展望広場からは、富山湾や立山連峰、新湊大橋、帆船海王丸などを一望できます。

海王丸の船歴

日本丸と海王丸の誕生

1927年（昭和2年）3月、鹿児島県立商船水産学校の練習船「霧島丸」が宮城県金華山沖で暴風雨に遭い、乗組員および生徒の合計53人全員が死亡するという惨事が起きました。

この事故をきっかけに、翌1928年（昭和3年）に大型練習帆船2隻の建造が決定されました。この2隻の建造費は合計182万円で、当時の国家予算に比べて非常に大規模なプロジェクトでした。

設計はスコットランドのラメージ・エンド・ファーガソンが行い、建造は神戸の川崎造船所艦船工場（現在の川崎重工業船舶海洋カンパニー神戸工場）が担当しました。

1930年（昭和5年）1月27日に進水した第1船は「日本丸」と名付けられ、同年2月14日に進水した第2船は「海王丸」と名付けられました。これら2隻は文部省航海練習所の所管となりました。

海王丸は同年の10月から12月にかけてミクロネシアのトラック島へ初の遠洋航海を行いました。その後も太平洋を中心に訓練航海に従事しました。

太平洋戦争

1943年（昭和18年）に太平洋戦争が激化すると、海王丸の帆装は取り外され、船体は灰色に塗り替えられました。その後は石炭の輸送任務に従事しました。同年4月には航海訓練所が設立され、海王丸を含む練習船は航海訓練所に所属することとなりました。

戦後

戦後は海外在留邦人の復員船として27,000人の引揚者を輸送しました。1955年（昭和30年）には帆装が再取り付けられ、船体も白く塗りなおされ、かつての美しい姿である「海の貴婦人」と呼ばれるようになりました。

1956年（昭和31年）には米国ロサンゼルスに向けて戦後初の遠洋航海を行いました。その後も1960年（昭和35年）の日米修交百年祭参加遠洋航海、1961年（昭和36年）のロス - ホノルル間国際ヨットレース参加遠洋航海、1967年（昭和42年）のカナダ建国百年祭参加遠洋航海など、数多くの遠洋航海を経験しました。

しかし、1974年（昭和49年）以降は老朽化が進んだため、遠洋航海の規模を縮小せざるを得ませんでした。

1981年（昭和56年）10月29日に海王丸は富山新港に入港し、10月31日と11月1日に一般公開されました。

船首像の設置（II世以降）

初代の日本丸や海王丸には船首像はありませんでしたが、1985年（昭和60年）に日本丸II世が就航した際に、日本丸II世と海王丸に船首像が取り付けられました。これらの船首像は東京芸術大学の西大由教授によって制作されました。

日本丸II世の船首像は手を合わせて祈る女性の姿を表し、「藍青」と名付けられました。海王丸の船首像は横笛を吹く女性の姿を表し、「紺青」と名付けられました。

引退

1989年（平成元年）9月16日に海王丸は退役しました。海洋練習船としての役割は、船首像の「紺青」とともに海王丸II世に引き継がれました。

引退後、海王丸は富山県と大阪市の間で譲渡先の選定が行われました。最終的に、富山県と大阪市が共同で設立した財団法人帆船海王丸記念財団（現在の財団法人伏木富山港・海王丸財団）に引き渡されることとなりました。

海王丸は富山新港の伏木地区に係留され、1990年（平成2年）4月28日から一般公開が開始されました。その後、1992年（平成4年）7月5日には専用の係留・展示施設である海王丸パークがオープンしました。

一方、大阪市は1993年（平成5年）に練習帆船「あこがれ」を就航させ、海王丸から手を引きました。海王丸は1994年（平成6年）に富山新港に恒久的に係留されることが決まりました。

海王丸は係留保存された後も、船舶安全法に基づく定期検査を毎年受け、船舶検査証明書が交付されています。また、船長以下の乗組員も配置されており、船舶としての運行管理が行われています。

1997年（平成9年）にはドックで補修が行われ、船底などの見学会も実施されました。2012年には大規模な修繕が行われ、修繕には4億5000万円が費やされました。

2018年（平成30年）7月20日、日本船舶海洋工学会が初代海王丸を「ふね遺産」第11号に認定しました。