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二上山公園

(ふたがみやま こうえん)

自然と万葉の心が息づく二上山

二上山公園は、富山県高岡市を代表する自然豊かな観光地です。JR高岡駅から約6キロメートルの場所に位置し、市街地からほど近いにもかかわらず、四季折々の美しい景観と深い歴史を感じられる憩いの空間として親しまれています。

公園の中心となる二上山は、標高274メートルのなだらかな山で、高岡市と氷見市にまたがっています。東峰と西峰の二つの峰からなることがその名の由来とされ、「二神山(ふたがみやま)」が転じたという説もあります。地元では親しみを込めて「ふたがみさん」と呼ばれています。

この一帯は、名勝雨晴海岸とともに能登半島国定公園の一部を構成しており、雄大な自然景観と歴史文化が融合する貴重な地域です。

万葉の歌に詠まれた二上山

奈良時代、越中国府が現在の高岡市伏木に置かれていた頃、万葉集を代表する歌人大伴家持が越中国守として赴任しました。家持は在任中の5年間、この二上山を題材に多くの歌を詠み、その自然の美しさや心象風景を後世に伝えています。

公園内には万葉歌碑や家持像が設置され、訪れる人々は万葉の世界に思いを馳せることができます。約8.4キロメートルにわたるドライブコース「二上山万葉ライン」は、山をゆるやかに巡る道路で、沿道には歌碑やブロンズ像が点在し、歴史と芸術を感じながら景色を楽しむことができます。

守山城跡と城山園地の絶景

西峰にあたる城山(標高259メートル)は、かつての守山城跡です。戦国時代には前田利長が城主としてこの地を治め、射水・砺波・婦負の三郡を支配しました。現在は城山園地として整備され、展望スポットとして人気を集めています。

山頂からは、北に氷見市と能登半島の山並み、東に高岡市街と富山湾、さらに晴れた日には立山連峰を望むことができます。南には小矢部川が蛇行し、砺波平野が広がります。これほど多彩な景観を一望できる場所は県内でも貴重であり、高岡市を代表する絶景地といえるでしょう。

平和への祈りを込めて ― 平和観音像

二上山の城山園地には、昭和44年(1969年)、高岡市制80周年を記念して建立された「平和観音像」があります。世界平和と人類の繁栄を祈願して建てられたこの観音像は、守山城跡内に静かに佇み、市街地をやさしく見守るように伏し目がちに立っています。

本体はブロンズ製で高さ約6メートル。銅器のまちとして知られる高岡ならではの技術が活かされています。万葉ライン沿いにはブロンズ像や鐘が点在し、「ブロンズライン」とも呼ばれるほどです。観音像の穏やかな姿は、市民に安らぎと希望を与える象徴となっています。

国内最大級の「平和の鐘」

二上山の山中には、昭和44年に建立された「平和の鐘」があります。高岡開町360年・市制80周年を記念し、世界平和と社会繁栄を祈念して設置されました。

重さは約11トン、口径1.82メートル、高さ3.33メートルという壮大な大梵鐘で、誰でも自由に撞くことができる鐘としては国内最大級の規模を誇ります。制作は、人間国宝で芸術院会員でもあった香取正彦の監修によるもので、鐘の周囲にはお釈迦様の一生が精緻に描かれています。

高岡銅器の高度な技術が生み出したこの鐘を実際に撞けば、深く澄んだ音色が山々に響き渡ります。その余韻は訪れる人の心を静かに包み込み、平和への祈りをあらためて感じさせてくれることでしょう。

二上山万葉植物園で楽しむ四季の草木

1978年に開園した「二上山万葉植物園」は、二上山の中腹に広がる約1万平方メートルの植物園です。万葉集に詠まれた植物を中心に、約50〜60種類の草木が自然の姿を活かして植えられています。

クヌギ、ハギ、タブノキ、ヤブツバキなど、万葉の歌に登場する植物を間近で観察できるのが大きな魅力です。散策コースも整備されており、ゆったりと歩きながら万葉の情景を体感できます。

春の新緑、夏の濃い緑陰、秋の紅葉、冬の静寂と、季節ごとに異なる表情を見せる園内は、自然と文学を結びつける特別な空間です。

野鳥観察と豊かな自然環境

二上山は野鳥の宝庫としても知られています。美しいさえずりで知られるキビタキ、赤い腹部が特徴のアカゲラ、鮮やかな青い羽を持つオオルリなど、多彩な野鳥が生息しています。オオルリは日本三鳴鳥のひとつにも数えられ、その澄んだ声は森に響き渡ります。

植生も豊かで、ヌルデやモミジ、コナラ、クヌギなどの落葉広葉樹が広がり、晩秋には山全体が鮮やかな紅葉に包まれます。また、標高約270メートルという低地にもかかわらずブナが自生する「低地型ブナ林」が見られることでも知られ、全国的にも珍しい植生として注目されています。

多彩な登山コースと散策の楽しみ

二上山には複数の登山コースが整備されています。二上射水神社コース、キャンプ場コース、万葉ラインコース、城光寺古墳群コース、城光寺の滝コース、摩頂山コースなどがあり、体力や目的に応じて選ぶことができます。

山頂には射水神社の摂社である日吉社(通称「奥の御前」)が鎮座し、信仰の場としても大切にされています。登山道を歩きながら、歴史と自然を同時に体感できるのが二上山の大きな魅力です。

周辺の景勝地と見どころ

二上山周辺には見どころが点在しています。落差8メートルの城光寺の滝は、かつて修行の場としても利用され、滝壺周辺には石仏が祀られています。また、国分の滝や与茂九郎池など、自然の趣を感じられる場所もあります。

特に雨晴海岸から望む立山連峰は、日本有数の絶景として知られています。海越しにそびえる立山の姿は、四季や時間帯によってさまざまな表情を見せ、多くの写真愛好家を魅了しています。

歴史と自然が調和する観光地

1966年に完成した二上山万葉ラインは、ドライブコースとしても人気があります。ただし冬季は積雪や凍結のため閉鎖されることがあるため、訪問時には事前確認がおすすめです。

奈良時代から戦国時代、そして現代へと続く歴史を感じながら、自然の中で心身をリフレッシュできる二上山公園。文学、歴史、芸術、自然景観が一体となったこの場所は、何度訪れても新たな発見があります。

四季折々の風景と万葉の心を感じに、ぜひ二上山公園をゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか。きっと心に残る穏やかな時間を過ごすことができることでしょう。

Information

名称
二上山公園
(ふたがみやま こうえん)

高岡・氷見

富山県