生地温泉は、富山県黒部市生地に湧く歴史ある温泉です。黒部漁港のほど近く、名水の里としても知られるこの地にあり、海の恵みとともに古くから人々に親しまれてきました。現在は温泉宿生地温泉たなかやがその湯を守り続けています。かつては経新地区に「生地第一温泉(大坪旅館)」も存在し、生地は湯治場としてもにぎわいを見せていました。
泉質は含塩化土類臭素強食塩泉で、源泉温度は13.1℃。多量の塩分を含むため、口に含むとほのかな塩味を感じるのが特徴です。源泉は昭和初期に飲料水を目的として地下77メートルを掘削した際に見つかりました。塩分の効果により湯冷めしにくく、身体の芯までじんわりと温まります。
神経痛や関節痛、筋肉痛、五十肩、外傷、婦人病など幅広い効能が伝えられています(※効能は万人に保証されるものではありません)。地元では古くから「霊泉」として愛され、湯上がりの軽やかさを語る逸話も残っています。
生地温泉たなかやは、明治44年(1911年)に「生地鉱泉」として再建開業しました。開湯には、戦国武将上杉謙信がこの地で霊泉を発見したという伝説が伝わります。謙信が手植えしたとされる松の下には庚申仏が祀られ、湯の歴史を今に伝えています。
創業110年以上を誇る宿は、日本庭園に囲まれた静かな一軒宿です。全客室から庭園を望むことができ、昭和初期に趣向を凝らして造られた本館客室は、一部屋ごとに異なる意匠が施されています。離れ「菊芳庵」では、霊泉を引いた石風呂を備え、よりプライベートな時間を過ごすことができます。
広大な敷地に広がる日本庭園は、樹齢を重ねた松や池を中心に四季折々の美しさを見せてくれます。春の紅梅や竹林、冬の雪景色など、大浴場の窓から眺める風景は格別です。透明でやわらかな湯に身をゆだねながら、庭を愛でる時間は、まさに非日常の癒しといえるでしょう。
北陸自動車道・黒部インターチェンジから車で約15分。あいの風とやま鉄道生地駅から徒歩約20分、北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅からは車で約20分です。黒部の海と庭園美、そして歴史ロマンを感じる生地温泉で、心安らぐひとときをお過ごしください。