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南砺市立 福光美術館

(なんと しりつ ふくみつ びじゅつかん)

森と芸術が調和する静謐な文化空間

富山県南砺市法林寺の緑豊かな丘陵地に佇む南砺市立福光美術館は、自然と芸術が見事に調和した公立美術館です。周囲を森に囲まれ、四季折々の草花や野鳥のさえずりに包まれながら、ゆったりと芸術鑑賞を楽しめることから、県内外の美術ファンや観光客に親しまれています。

本美術館は、日本を代表する板画家棟方志功と、福光出身の日本画家石崎光瑤を中心に、郷土ゆかりの芸術家たちの作品を体系的に紹介する文化拠点です。館内に一歩足を踏み入れると、喧騒から離れた穏やかな時間が流れ、心静かに芸術と向き合うことができます。

森の中で味わう癒しのひととき

福光美術館は閑静な森の中に位置し、敷地内には池や彫刻庭園が整備されています。散策中には野鳥やカモシカなど、里山ならではの動物たちに出会えることもあり、訪れる人々に深い癒しを与えてくれます。

自然環境と調和する建築は、周囲の景観を損なうことなく、あくまで主役は芸術作品と自然そのもの。天候や季節によって表情を変える景色とともに鑑賞する美術作品は、何度訪れても新たな発見をもたらしてくれます。

福光ゆかりの三人の芸術家

当館では、この地と深い関わりをもつ三人の芸術家、棟方志功石崎光瑤松村秀太郎の作品を常設展示しています。特に棟方志功は、第二次世界大戦末期から約6年半にわたり福光で疎開生活を送り、多くの代表作を生み出しました。その創作の息吹を、作品を通して間近に感じることができます。

石崎光瑤 ― 福光が生んだ日本画の巨匠

石崎光瑤は、写実性と装飾性を融合させた華やかな花鳥画で知られています。孔雀や藤、雪景色などを題材とした屏風作品は、気品と生命力に満ち、訪れる人の心を捉えて離しません。福光美術館では663点もの作品が収蔵されています。

棟方志功 ― 福光で花開いた板画の世界

世界的版画家である棟方志功は、疎開生活を送った福光の地で、宗教的情熱と生命力あふれる板画作品を数多く制作しました。当館では約259点を収蔵し、専用展示室にてその魅力を余すところなく紹介しています。大胆な構図と力強い線からは、棟方の人間味と信仰心が伝わってきます。

松村秀太郎 ― 立体表現に宿る温もり

彫刻家・陶芸家として活躍した松村秀太郎の作品も、福光美術館の重要なコレクションです。木彫やブロンズ、陶芸作品など、素材の持ち味を生かした造形は、どこか温かみがあり、鑑賞者の心に静かに寄り添います。

富永一朗の作品

漫画家富永一朗の作品も多数収蔵されており、美術の多様な表現に触れることができます。

美術館の成り立ちと歩み

石崎光瑤の遺産から始まった美術館

南砺市立福光美術館は、福光町(現・南砺市)出身の日本画家石崎光瑤の遺族から、約450点にも及ぶ作品が寄贈されたことをきっかけに建設されました。これら貴重な作品を後世に伝えるため、1994年10月7日、「福光町立福光美術館」として開館しました。

2004年の市町村合併により南砺市が誕生したことに伴い、現在の名称である南砺市立福光美術館へと改称されました。

棟方志功との深い縁

第二次世界大戦末期、棟方志功は福光町に疎開し、約6年半にわたりこの地で創作活動を行いました。その間に数多くの名作が生み出され、福光は棟方芸術の重要な創作拠点となりました。美術館では、こうした歴史的背景を踏まえ、棟方志功の板画や肉筆画、書などを体系的に展示しています。

充実した展示空間とリニューアル

2015年には展示室と収蔵庫の増築が行われ、新常設展示室がオープンしました。従来の約1.8倍となる広さを誇る展示空間では、棟方志功と石崎光瑤の大作を同時に展示することが可能となり、より深く作品世界に浸ることができます。旧展示室はコレクション室として活用され、南砺市ゆかりの作家の作品も紹介されています。

企画展と地域文化の発信

福光美術館では常設展示に加え、年間を通じて多彩な企画展を開催しています。郷土ゆかりの作家や現代作家の作品展示、ワークショップ、講演会なども行われ、地域文化の発信拠点としての役割を担っています。多目的スペース「アートルーム」では、子どもから大人まで参加できる催しが開かれ、芸術を身近に感じられる場となっています。

分館で巡る棟方志功の創作と暮らし

南砺市立福光美術館の大きな魅力のひとつが、市街地に点在する4つの分館です。これらの分館は、版画家・棟方志功が実際に暮らし、創作活動を行った場所や、深い交流のあった人々との記憶を今に伝える貴重な文化施設であり、本館とあわせて鑑賞することで、棟方志功の芸術と人となりをより立体的に理解することができます。

棟方志功記念館 愛染苑(あいぜんえん)

棟方志功記念館 愛染苑は、1982年に開館した記念館で、棟方志功と深い親交のあった石崎俊彦氏が、多数の棟方作品と土地・建物を福光町(現・南砺市)へ寄贈したことにより設立されました。主に、志功が福光に疎開していた6年8か月の間に制作した作品を中心に展示しています。

「愛染苑」という名称は、棟方志功がこの住居に自ら名付けたもので、前庭には1951年建立の谷崎潤一郎文学碑も立ち、文学と美術が交差する静かな空間となっています。

旧棟方志功住居 鯉雨画斎(りうがさい)

鯉雨画斎は、棟方志功が1946年末から家族6人で暮らした住居を移築・保存した施設です。ここは棟方が初めて手にした新築の家であり、その喜びから、板戸や柱、風呂桶、さらには厠(トイレ)の壁や天井にまで天女や菩薩を描いたことで知られています。

住居内の8畳間の和室はアトリエとして使用され、「滝登りの鯉」「雨に打たれる鯉」が描かれた板戸にちなみ「鯉雨画斎」と名付けられました。現在は解説員が常駐しており、当時の生活や制作秘話を詳しく聞くことができます。

民藝館 青花堂(しょうげどう)

民藝館 青花堂は、石崎俊彦氏の旧宅を改装した施設で、棟方志功から贈られた堂号「青花堂」を冠しています。館内では、石崎氏が民藝運動の指導者たちとの交流を通じて収集した陶芸品や民藝品、美術工芸品が展示され、民藝の精神と美意識を感じることができます。

棟方志功資料館

棟方志功資料館は、2016年に開館した比較的新しい分館で、志功の書簡、関連資料、交流のあった人々の紹介、寄せ書きなどを展示するガイダンス施設です。団体見学時の説明場所としても活用され、棟方志功の足跡を学ぶ交流拠点として親しまれています。なお、こちらの施設は入館無料です。

分館および本館へのアクセス

本館(南砺市立福光美術館)へのアクセス

所在地:富山県南砺市法林寺

電車:
JR城端線「福光駅」より、車・タクシーで約5分。
加越能バス・JRバス・市営バス利用の場合、「川合田温泉」下車、徒歩約7〜8分(市営バスは土日祝運休)。

車:
北陸自動車道「小矢部IC」より約10分。
東海北陸自動車道「福光IC」より約15分。
無料駐車場完備。

分館(愛染苑・鯉雨画斎・青花堂・棟方志功資料館)へのアクセス

分館4施設は、福光市街地にまとまって立地しており、徒歩での回遊が可能です。

電車:
JR城端線「福光駅」より徒歩約15分(南砺市福光公園周辺)。

車:
東海北陸自動車道「福光IC」より約15分。
分館共用の無料駐車場あり。

本館と分館の移動:
本館と分館エリア間は車で約5分の距離にあり、あわせての見学も無理なく楽しめます。

心に残る美術鑑賞のひととき

森の静けさに包まれながら名作に向き合う時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれます。南砺市立福光美術館は、芸術の魅力だけでなく、自然のやさしさ、人の営みの温もりを感じさせてくれる場所です。南砺市を訪れた際には、ぜひ足を運び、心豊かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
南砺市立 福光美術館
(なんと しりつ ふくみつ びじゅつかん)

砺波・五箇山

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