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立山玉殿の湧水

(たてやま たまどの ゆうすい)

標高2,450mに湧く天空の名水

霊峰立山の主峰・雄山直下から湧き出す清冽な水

立山玉殿の湧水は、北アルプス・立山連峰の主峰である雄山(おやま)直下の立山断層破砕帯から湧き出す名水です。標高2,450メートルの室堂平に位置し、日本国内で市販されている水の中では、最も標高の高い場所で採水される湧水として知られています。

この水は、1968年(昭和43年)に立山黒部アルペンルートの立山トンネル掘削工事中、雄山直下の破砕帯から大量に噴出した地下水が源となっています。水温は年間を通して2~5℃と非常に冷たく、真夏でも変わらぬ清涼感を保っています。

200年から300年の歳月を経た天然のろ過水

立山に降り積もった雪は万年雪となり、長い年月をかけて地中へと浸透します。その水が花崗岩や変成岩の地層を通り、約200年から300年という時を経て自然にろ過され、ミネラルを程よく含んだ地下水となって地表へ湧き出します。

まさに時空のロマンを感じさせる名水であり、自然が長い年月をかけて育んだ恵みそのものです。

名水百選にも選ばれた品質

立山玉殿の湧水は、その水質の良さが高く評価され、1985年(昭和60年)に環境省の名水百選に選定されました。硬度は約17.1mg/Lの軟水で、刺激が少なく口当たりが柔らかいのが特徴です。

軟水は素材の味を引き立てるため、ご飯や和食、お茶、紅茶、コーヒー、水割りなどに適しているとされています。また、お腹や肌にもやさしい水といわれ、敏感な方にも親しまれています。

室堂平で味わう天空の一杯

室堂ターミナルの後方には給水場が設けられており、5月下旬から10月下旬まで利用することができます。多くの登山客や観光客が、散策や登山の合間にこの湧水で喉を潤しています。

湧水の石碑と水飲み場の背後には、雄大な立山三山の姿が広がり、人気の撮影スポットにもなっています。青空の下、名峰を望みながら味わう一杯は、まさに格別の体験です。

立山黒部アルペンルートとともに歩んだ歴史

この湧水は、立山黒部アルペンルートの発展とともに知られるようになりました。トンネル開通により地上へ導かれた水は、現在では室堂周辺の生活用水やホテル立山の水道水としても利用されています。

さらに、「立山黒部サービス」により全国販売も行われており、“日本一高所で採水された市販水”として多くの人に親しまれています。

周辺に広がる壮大な自然景観

立山玉殿の湧水がある室堂平一帯は、中部山岳国立公園の特別保護地区に指定されています。周囲には火口湖であるみくりが池、火山活動の痕跡を残す地獄谷、修験道の歴史を感じさせる玉殿岩屋など、見どころが点在しています。

高山植物が咲き誇る夏、草紅葉に染まる秋、雪の大谷が広がる春と、四季折々に異なる表情を見せる自然環境の中で、この湧水は静かに湧き続けています。

自然保護と未来への継承

室堂平ではゴミの持ち帰りが徹底され、関係機関や山荘組合による環境保全活動が積極的に行われています。貴重な自然環境と名水を未来へ守り伝える取り組みが続けられています。

天空の聖地で味わう、特別なひととき

標高2,450メートルという雲上の地で湧き出す立山玉殿の湧水は、単なる飲料水ではありません。それは立山信仰の歴史、壮大な自然の営み、そして人々の暮らしを支えてきた命の水です。

立山黒部アルペンルートを訪れた際には、ぜひこの名水を一口味わい、長い年月を経て生まれた自然の恵みに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。澄みきった冷水は、旅の記憶をより深く、鮮やかに刻んでくれることでしょう。

Information

名称
立山玉殿の湧水
(たてやま たまどの ゆうすい)

立山・室堂

富山県